オフィスの屋上が菜園に? 東急不動産が進める「Vegetable Smiles」
こんにちは。「Midori_Times.net」編集部です。
オフィスビルの屋上というと、人が立ち入る機会が少ない設備スペースをイメージする人もいらっしゃるかもしれません。しかし今、そのオフィスビルの屋上が、野菜や果物を育て、人と人をつなぎ、環境課題に向き合う場所へと変わりつつあります。
東急不動産が取り組む「Vegetable Smiles(ベジタブルスマイルズ/通称:ベジスマ)」は、都市の屋上空間を活用した菜園活動です。広域渋谷圏を中心とするオフィスビルの屋上で、さまざまな作物を育てながらコミュニティ形成や環境価値の創出につなげています。また、都市で野菜を育てる取り組みには、これからのまちづくりや働き方のヒントが詰まっています。
屋上菜園から始まる新しいコミュニティ
「ベジスマ」は、東急不動産が保有するオフィスビルの屋上やテラスで、約10年にわたって続けられています。トウモロコシ、スイカ、ブドウ、サツマイモなど、これまで50種類以上の作物を育ててきました。
この活動の特徴は、単なる緑化ではない点にあります。屋上菜園を通じて、同じビルで働くテナント同士の交流やコミュニティ形成が生まれています。植え付けや収穫イベントでは、普段は接点の少ないオフィスワーカー同士が自然と会話を交わし、一緒に土に触れ、植物の成長を楽しみます。都市のオフィス環境の中では貴重な体験です。
また、外気や自然光に触れながら過ごす時間は、リフレッシュやストレス軽減にもつながるとされており、Green Work Style(※)の実践例としても注目されています。
※オフィスを起点とした、新しいサービスの形(https://gws.tokyu-land.co.jp/)
環境課題へのアプローチとしての菜園
「ベジスマ」が目指しているのは、コミュニティの形成・活性化だけではありません。その背景には、東急不動産が推進する「環境で選ばれる施設」という考え方があります。
東急不動産では、「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」を重要な環境課題として掲げており、屋上菜園もまた、その取り組みのひとつとして位置づけられています。
作物を育て、緑を増やすことは、ヒートアイランド現象の緩和のほか、昆虫や鳥といった小さな生きものが訪れる環境を生み出すことにもつながります。オフィスビルの屋上もまた、都市の自然を支えるひとつの拠点になり得ます。
「芋緑化」の取り組み
そんな「ベジスマ」の取り組みの1つが、以前もご紹介した「芋緑化」。空調の室外機の周囲でサツマイモを育てることで、葉の日陰効果や蒸散作用を活用し、機器周辺の温度上昇を抑える取り組みです。
「芋緑化」は、空調設備の負荷軽減や消費電力の削減につながるとされています。また、サツマイモは成長が早く、暑さや病害虫にも比較的強いため、都市の屋上環境との相性も良好です。
野菜を育て、省エネや脱炭素にもつながる。そんな新しい発想による取り組みが、都市の屋上空間に確かな価値を生み出しています。
収穫した作物はクラフトビールやチップスに

また、近年では、「ベジスマ」で育てられた作物を活用した製品開発も進めています。2024年には、屋上菜園で育てたホップを使用したクラフトビールや、サツマイモチップスを製品化しました。これらの製品は入居テナント向けのイベントや、お歳暮・手土産などにも活用されています。
自分たちが働くビルで育った作物が商品になる。その体験は、環境への関心や愛着へとつながっていきます。また、「育てる」「収穫する」「食べる」という循環を都市の中で実践することは、持続可能なライフスタイルを考えるきっかけにもなります。
ただのスペースとして扱われることの多かったオフィスビルの屋上は、「ベジスマ」によって人が集い、自然に触れ、環境を考える場所に変わりつつあります。「ベジスマ」は、これからの都市のあり方を示すプロジェクトとも言えるかもしれません。
東急不動産は、引き続き生物多様性に配慮し、ウェルビーイングを志向したまちづくりを進めてまいります。