渋谷川は生息地拡大の鍵に?|シブヤで暮らす身近な野鳥たち

こんにちは。「Midori_Times.net」編集部です。

東急不動産は環境コンサルティングを手がける株式会社地域環境計画と連携し、生物モニタリング調査を行っています。対象は、広域渋谷圏の商業施設やオフィスビルなどです。東急不動産が目指すエコロジカル・ネットワークの形成に向けて、鳥や昆虫、植物といったいきものたちがどんな場所で、どのように暮らしているのか明らかにするのが目的です。調査を通じて得られたデータは、都市緑化や環境配慮型のまちづくりに活かしていきます。

今回はこの生物モニタリング調査で確認された5種類の野鳥をご紹介しつつ、渋谷の都市環境と周辺環境のつながりについて、少し深掘りしていきます。

1.オナガ

青みがかった羽と、体よりも長く伸びた尾が印象的なオナガ。体長30cm〜35cmほどのカラスの仲間の野鳥です。淡い青色・黒・白が組み合わさった美しい姿で、街で見かけると目を引く存在です。

群れで行動することが多く、「ギーイ、ギーイ」と少し濁った声で鳴き交わしながら移動し、木の実や昆虫、クモなど、季節に応じて食性を変えながら暮らしています。

また、繁殖期には高木の枝に巣をつくり、時には数羽で協力して子育てをすることもあります。都市部でオナガの姿が見られるのはまとまった量の樹木があり、木の実や昆虫が発生する環境が保たれている証でもあります。

2.イソヒヨドリ

オスは青色の頭と背中、赤褐色の腹部という美しい体色を持ち、メスは全体に灰褐色でうろこ状の模様があるイソヒヨドリ。体長は22cm〜23cmほど。その澄んださえずり声が響くと、思わず見上げてしまうこともあるかもしれません。

昆虫や小魚、甲殻類、果実などを食べる雑食性で、名前のとおり、海岸付近の岩場の割れ目に巣をつくる習性があります。一方、都市部ではビルのすき間や換気口の近く、橋の構造部などを利用することもあります。詳しくは後述しますが、建物などの人工物を岩場の代わりに利用できることが、都市部への進出につながっていると考えられています。

3.メジロ

黄緑色の体に、目のまわりの白い縁取りがあるメジロ。体長は約12cmの小柄な鳥で、枝から枝へとすばしっこく移動します。

主な餌は花の蜜や果実、昆虫など。特にウメやサクラ、ツバキなどの花をつつく姿が知られています。こうした花の蜜を吸う際に花粉が体に付き、別の花へ運ばれることで、花粉媒介者(ポリネーター)としての役割を果たしています。

都市部では、庭木や街路樹、公園の植栽、屋上庭園などがメジロの採餌場所となります。都市においてメジロが見られるということは、季節ごとに花が咲き、果実が実る健全な環境が整っている証です。

4.シジュウカラ

Webいきもの図鑑でもご紹介したシジュウカラは、白い頬と胸からお腹にかけて伸びる黒いネクタイ模様を持ち、仲間同士でコミュニケーションを取るバリエーション豊かな鳴き声が特徴の野鳥です。日本全国に広く分布しています。

繁殖期のシジュウカラは毛虫などを大量に捕食し、森林や都市緑地において害虫の増加を抑える役割を担っています。環境の変化に敏感なため、シジュウカラが見られる場所は、いきものにとって良好な環境が保たれていると考えられます。

5.ハクセキレイ

白と黒のコントラストが美しい体色に、長めの尾を上下に振りながら歩く姿が特徴のハクセキレイ。体長は約20cmの野鳥です。

都市河川の護岸や遊歩道は、ハクセキレイにとって大切な餌場となっており、地面を歩き回りながら昆虫を捕食します。ハクセキレイの存在は、都市の水辺がいきものの生息地としてしっかり機能していることを示しています。

渋谷川に沿って都心へ生息地を広げる鳥もいる?

ここまでご紹介してきた5種類のうち、イソヒヨドリはもともと海岸付近の磯や崖地に生息する野鳥です。しかしながら、近年は河川周辺や内陸部での確認例が増えています。

東急不動産の生物モニタリング調査でも、恵比寿イーストビル、ウノサワ東急ビル、渋谷ソラスタ、渋谷フクラス、渋谷サクラステージの5カ所でイソヒヨドリの姿を確認しました。本来は海辺に生息する鳥が、なぜ渋谷の真ん中で見られるのでしょうか?

1つの仮説として考えられるのが、渋谷川周辺の地形がエコロジカル・コリドー(生息回廊)となっていること。生物モニタリング調査でイソヒヨドリが確認された5カ所は、いずれも渋谷川に近接しています。このことから、もともと海辺で暮らしていたイソヒヨドリが、渋谷川の谷地形に沿って沿岸部から移動し、周辺の緑地で餌を取りながら、近隣の建物のすき間などで営巣している可能性が考えられます。

イソヒヨドリのこうした行動は先行研究でも報告されています。ビルの谷間でさえずる鳥の声は、渋谷の街の環境が周辺エリアの自然環境としっかり結びついている証なのかもしれません。

東急不動産では、引き続き、いきものに配慮したまちづくりを進めていきます。