【WEBいきもの図鑑】02|セイヨウミツバチ
こんにちは。「Midori_Times.net」編集部です。
今回のWEBいきもの図鑑は「セイヨウミツバチ」。都市の公園やベランダの植栽などでも見かけることが多いセイヨウミツバチは、私たちの暮らしと深いつながりを持つ存在です。花から花へ飛び回り、生態系や私たちの食生活を支える大切な役割を担っています。
セイヨウミツバチの生態や人との関わりを見ていきましょう。
セイヨウミツバチはどんないきもの?
名前のとおりヨーロッパを原産とするセイヨウミツバチ(ミツバチ科ミツバチ属)は、世界中に広く分布しています。日本には養蜂を目的として明治時代に輸入され、今では在来種のニホンミツバチとともに、都市部でもよく見られるようになりました。
体長は12mm〜15mmほど(働き蜂の場合)。ニホンミツバチよりやや大きく、体全体の黄色みが強いのが特徴です。卵を産む1匹の女王蜂を中心に、数千匹〜数万匹の働き蜂や雄蜂で巣をつくり、それぞれ役割を分担しながら暮らしています。
全体の約90%を占める働き蜂は、すべて雌。春から夏にかけて植物の蜜や花粉を集め、巣に持ち帰ってハチミツや女王蜂の餌となるローヤルゼリーをつくります。巣の温度や湿度を保ち、女王蜂や幼虫を守るのも働き蜂の仕事です。
ちなみにセイヨウミツバチの働き蜂が一度に集められる蜜の量は0.04gほど。1匹が一生かけてつくり出せるハチミツは、ティースプーン1杯分にも満たないといわれています。
生態系を支える「ポリネーター」
続いてセイヨウミツバチが生態系の中で担っている役割を見ていきましょう。
セイヨウミツバチが蜜や花粉を求めて花から花へ飛び回ると、全身の体毛に花粉が付着します。その花粉が別の花の雌しべに付くことで、植物の受粉を媒介します。この「ポリネーター(=花粉媒介者)」としての働きが、セイヨウミツバチが生態系のなかで担っている大きな役割です。
もしセイヨウミツバチがいなくなれば、多くの植物は育たず、植物の実や種を餌とする鳥類、昆虫も減り、生態系全体に大きな影響が出てしまいます。
また、私たちが普段口にしているキュウリやイチゴといった野菜・果実の生育も、「ポリネーター」であるセイヨウミツバチに助けられています。
セイヨウミツバチの数が減れば野菜・果物の生産量も減り、私たちの食卓、食文化にまで影響が及ぶ可能性も。人を含めた多くのいきものが健やかに過ごせる背景に、セイヨウミツバチの働きがあるというわけです。
都心に広がるセイヨウミツバチの森

こうした背景を踏まえ、東急不動産は渋谷広域圏のオフィスビルや複合施設の屋上庭園、緑化スペースにセイヨウミツバチの巣箱を設置し、都市養蜂に取り組んでいます。また、今年5月には東京ポートシティ竹芝(東京都港区)の5階テラススペースで、ハチミツの収穫を体験できるイベントを開きました。

イベント当日は東急不動産のオフィスビルを利用するテナント企業から約50名が参加。講義で生物多様性や都市養蜂の意義を知っていただいた後、テラスに移動してハチミツの収穫を体験していただきました。

遠心分離機に巣枠(採蜜用のフレーム)をセットして回すと、ほどなくハチミツが流れ出てきます。東京ポートシティ竹芝の周辺は浜離宮、芝公園など緑豊かな環境で、多くの植物を蜜源とするセイヨウミツバチのハチミツからはさまざまな花の香りがします。試食した参加者からは「いい香り」「今まで食べてきたハチミツと全然違う」といった声が聞かれ、大盛況となりました。
セイヨウミツバチが飛び交うまちは、人にとってもやさしいまち。東急不動産は都市に息づくいきものたちに寄り添いながら、人がいきいき過ごせるサステナブルなまちづくりを進めていきます。