【WEBいきもの図鑑】05|アキアカネ
こんにちは。「Midori_Times.net」編集部です。
広域渋谷圏に暮らすいきものたちをご紹介する本シリーズ。第5回目の今回は、秋の訪れを告げる「赤とんぼ」として知られるアキアカネです。
秋の空を舞う真っ赤なアキアカネの姿は、日本の原風景のひとつといえるかもしれません。懐かしさや親しみやすさを感じる人も多いのではないでしょうか。その一方、アキアカネの生態には季節や環境の変化が大きく関わり、生態系の中でも重要な役割を担っています。
アキアカネはどんなトンボ?
アキアカネ(トンボ科アカネ属)は、体長は4〜5cmほどの日本全国に広く分布するトンボです。夏のあいだは黄褐色の体色ですが、秋になると鮮やかな赤色に変化します。「赤とんぼ」として知られるこの姿は、童謡や文学作品にもたびたび登場してきました。日本人にとって最も身近なトンボのひとつと言えるでしょう。
そんなアキアカネの生態は、季節の移り変わりと密接に結びついています。春から初夏にかけて田んぼや湿地に卵を産み、孵化した幼虫(ヤゴ)は水の中で成長します。羽化後は夏の暑さを避けるため標高の高い場所に移動し、気温が下がり始める秋になると、再び平地や都市周辺へ戻ってきます。
この移動は「季節移動」と呼ばれ、昆虫としては比較的珍しい行動です。都市部で見かけるアキアカネの姿は、都市部と周辺地域の自然がつながっている証でもあります。
水辺と空をつなぐバランサー
また、アキアカネは生態系の中で重要な役割を担っています。幼虫の時はボウフラなどの小さな水生生物を食べ、成虫になると蚊やハエなどの昆虫を空中で捕食することで、水中と陸上の両方で生態系のバランスを保っています。
その一方で、環境変化の影響を受けやすく、農地や湿地が減ったり、護岸整備によって都市河川の水質が変化したりすると生息数が減少してしまうこともあります。このため、アキアカネは緑地や水辺環境の豊かさを示す指標生物として位置づけられています。
渋谷の自然環境とアキアカネ

生物多様性の保全を推進する東急不動産は、自然環境コンサルティングを手がける株式会社地域環境計画と連携し、広域渋谷圏における生物モニタリング調査を行ってきました。
目的は、同エリアのエコロジカルネットワーク形成に向けて現状を把握すること。2024年6月から2025年3月にかけての調査は、11カ所の商業施設やオフィスビルを対象に行われ、その結果、渋谷サクラステージとフォレストゲート代官山でキタキチョウ、イチモンジセセリといった蝶とあわせてアキアカネの姿を確認することができました。
上述のとおり、アキアカネは豊かな水辺環境で育ち、季節移動する昆虫です。今回のモニタリング調査でその姿が見られたことで、広域渋谷圏と周辺地域の自然環境のつながりをあらためて確かめることができました。
東急不動産はこれからも人と自然、都市と季節が調和するサステナブルなまちづくりに取り組んでいきます。